ときとーく

見逃すな!クルー・ドラゴン(スペースX)初の有人宇宙船の打上げ

宇宙飛行

追記:5月30日・スペースXのクルー・ドラゴン、無事宇宙へ!

フロリダ州、ケイプ・カナヴェラル空軍基地のミサイル発射台より、

現地時間の午後3時22分(日本時間31日午前4時22分)、

予定通りのスケジュールで、

スペースX社の有人宇宙船、クルー・ドラゴンが、ISS(国際宇宙ステーション)へと向けて無事打ち上げられた。

ISS到着は、約19時間後。

ISSにドッキング後、2名の飛行士、ハーレイとベンケンは、最短で6週間、最長で16週間に及ぶテストを行い、再び、クルー・ドラゴンに乗り込んで地球に帰還。

大西洋、フロリダ沖の海上にパラシュートを広げたクルー・ドラゴンが着水することになる。

NASAは、今回のミッションの模様を、随時、ライブストリーミングで全世界に配信していく。

 

「スペース・フォース」はアメリカ宇宙軍?それともコメディー?

2020年5月29日に、Netflixで配信開始のコメディー「スペース・フォース」、

主役は、映画「ミス・リトル・サンシャイン(2006)」や「ラブ・アゲイン(2011)」の

スティーブ・カレル

彼は、米テレビコメディーシリーズ「オフィス」で人気を博した、どことなく冷めた辛口かつ温厚な役柄を見事に演じる役者だ。

2019年8月に、現アメリカ大統領ドナルド・トランプが、

アメリカ宇宙軍(US Space Force)発足を公表した直後に、

このドラマの企画も発表され、

Netflixでのドラマの配信日は、

米宇宙軍の公式人員募集CM公開と重なる。

 

更に、

米国は5月30日に、The SpaceX Crew Dragon・スペースX社のクルー・ドラゴンの打ち上げを控えている。(打ち上げは、当初5月27日の予定だったが、天候不良のため延期とされた。ちなみに、27日には打ち上げ現場である、フロリダ州のケープ・カナヴェラル近辺には15万人の見物客が「三密」警告を無視して集まっていた。

これらはまさに、アメリカの新たな宇宙開発に向ける意欲を世界に誇示するために、

意図的にスケジュールされた連携プレイと見て間違いないだろう。

 

トランプ大統領率いるスペース・フォースとは

スペース・フォース(米宇宙軍)CM

上のリンクは、5月28日から公開されたテレビCMシリーズだ。

米政府は、常日ごろから、ミリタリー(軍)の人員募集に、テレビCMを利用している。

どれも、若者の夢や使命感を沸き立たせる、素晴らしい映像とキャプションで作成されている。

今回のスペース・フォース版も然りである。

映像と共に流れるナレーションでは、女性の声がこう語る(意訳):

現在のCMバージョンは以下のものとは違う場合があります。

星の輝きは、何百万年もの月日をかけて地球に届く

星を見るとき、私たちは遠くさかのぼった過去を見ているのだ

でも私はそこに未来を見る

探求、そして勇気

この国は、新天地を見出そうとしている

そして今、とてつもない飛躍が、カムバックを遂げた

そこに私は自身の姿を見る

未来こそ、歴史を作る舞台なのだ

 

身近に迫った有人ロケット打ち上げに、

胸躍らせる人は多いことだろう。

特に今、コロナ感染という過酷な時期を潜り抜けている子供たちが、

このイベントに、未来への夢を見出す可能性も高い。

 

宇宙事業は、国家予算の大きな割合を占めている。

一般庶民の生活に直接有益をもたらすようには思えない宇宙プロジェクトに、

反対の声を上げる人も多い。

(2020年度国家予算4兆7,400億ドルの0.48%がNASA宇宙開発費とされている)

宇宙プロジェクトにかかるコスト

スペースシャトル

2011年7月、スペースシャトル・アトランタを最後に、NASAは、有人宇宙船プロジェクトを一旦停止していた。

以後、NASAは、一般企業から、宇宙船をレンタルする、「コマーシャル・クルー・プログラム」という手段に乗り換えたのだ。

このプログラムは、厳しいコンペを勝ち抜いた候補企業に, NASAが開発投資を行い、出来上がった宇宙船をレンタルするという仕組み。

過去のスペースシャトルプロジェクトの際に、事故や不備などが原因でプロジェクトを中断せざるを得なくなったという経験から、複数の経路を確保しておく重要性を考慮した結果でもあった。

ボーイング社とスペースX社が、現在進行中の企業である。

2011年以降、アメリカが飛行士をISS(International Space Station・国際宇宙ステーション)に送り出す際には、ロシアのソユーズ宇宙船に、座席をレンタルするという形がとられてきた。

ひと席のレンタル料が、8,600万ドル(約92億円・1ドル107円換算)だそうだ。

これに対して、予測見積もりではあるが、

ボーイング社のスターライナーの場合は、ひと席9,000万ドル(約96億円)

スペースX社のクルードラゴンの場合は、ひと席5,500万ドル(約59億円)

クルードラゴン

今回、2020年5月30日に、初の有人飛行を実施する、

スペースX社の宇宙船は、かなりコスパのいい商品ということになる。

 

 

スペースX社の有人宇宙飛行船・クルードラゴン(Crew Dragon)

コロナ感染がいまだ終息にたどり着いていない2020年5月末。

ミッション・デモ2の打ち上げを明日30日に控え、

フロリダ州のケネディースペースセンターは、緊張のカウントダウンをすすめている。

 

センターから川を挟んだ岬に位置するケープ・カナヴェラル空軍基地から打ち上げられるロケット発射を生で見ようと、

周辺の公園やビーチは、再び見物客で埋めつくされることになりそうだ。

スペースX社のドラゴン宇宙船は、過去に、22回の無人打ち上げ実績を有している。

内、21回が、ISS・国際スペースステーションに向けて物資を輸送する、

カーゴ(荷物)・ドラゴンとしての任務だった。

 

そして、今回が、クルー(乗員)・ドラゴン、初の有人飛行となる

「次世代の宇宙船」と謳われる、スペースX・クルードラゴンは、全自動操縦が可能であるが、必要に応じて手動操作も可能である。

今回のテストドライブ・試運転では、いかなる状況下においても、自動/手動操縦システムが共に、予測通りの動きをし、且つ、扱いやすいものであることを実施体験するのが、主要な目的とされている。

 

見逃すな!日本時間5月31日午前4時22分にクルー・ドラゴン打ち上げ

2名のNASA宇宙飛行士:ロバート・ベンケンとダグラス・ハーリー略歴は以下の通り:

ダグ・ハーレィ(53)Doug Hurley

  • 米海兵隊出身
  • NASA・2000年度生、宇宙飛行士
  • 2011年7月、最後のスペースシャトルミッションを含む2度のミッションに参加
  • 今回のミッションでは、宇宙船司令官として、クルー・ドラゴン船の発着と回収を担当

ボブ・ベンケン(49)

  • 米空軍出身
  • NASA・2000年度生、宇宙飛行士
  • 2度のミッションに参加
  • 今回のミッションでは、統合作戦司令官として、クルー・ドラゴン船のISS到着及びドッキングを担当

5月13日

飛行士2名は、飛行前の隔離環境にて準備開始。

今回は、コロナ感染状況を考慮して、通常よりも厳しい管理がなされているとのこと。

発射4時間前

宇宙服装着。テスラ・モデルXに乗って、発射台へ向かう。

今回の、愛称「スターマンスーツ」は、

映画「キャプテン・アメリカ」や「バットマン対スーパーマン」などの衣装を手掛けた、

ハリウッドのコスチュームデザイナー、ホゼ・フェルナンデス氏によるものだ。

着用時の酸素量と温度調整を管理し、指先は、クルードラゴンの主な操縦手段である「タブレット操作」が可能な材質である。

船内の座席に設置されたケーブルをスーツに差し込むことによって、通信回路と酸素供給がまかなえるようになっている。

発射2時間半前

飛行士2名が、クルー・ドラゴン船に乗り込み、システムチェックを行う。

2時間前を切ったところで、宇宙船のハッチ(扉)が閉じられる。

発射35分前

ロケットに燃料が注入され、最終チェックが行われる。

2020年5月30日午後3時22分発射予定

日本時間2020年5月31日(日)午前4時22分!

状況次第で、1ヵ月から4ヵ月という幅の広いテスト期間を課されている飛行船と操縦飛行士2名。

期間中は、あらゆる状況を設定し、自動・手動操縦にて対処可能かどうかをテストする。

 

ボブ・ベンケン飛行士は言う:

「この宇宙船が、ボブの好み、ダグの好み、とならないように細心の注意を払いました。

この船は、あとに続く飛行士みんなのものです。

宇宙空間において、簡単に操縦できて、状況をわかりやすく解釈することができて、簡単に乗り降りができる、そういった乗りこなしやすい宇宙船にするためのテストなんです。」(意訳)

 

宇宙開拓の未来

今回のテスト飛行の目的は、

砕いた言い方をすれば、宇宙旅行の実用化・簡素化

 

ある程度の訓練を受けた飛行士が、

無理なく、安全に宇宙船を操縦し、

今後、国際宇宙センターだけではなく、

月や火星へ、一般市民を乗せて、自由に行き来する。

 

そのレベルの宇宙飛行を、乗用車で高速道路を走るかのように

当たり前にできる日が、

どの程度近い将来に実現するのかは、まだまだ推測不能だ。

 

だが、膨大な利益を生み出すビジネス価値があれば、

今後さらに一般企業にとっても、宇宙は魅力的な市場となるだろう。

その現実化に拍車をかけることになるのかもしれない。

 

参考リンク

NASAオフィシャル・ストリーミング

アメリカ宇宙軍公式サイト(英語)

スペースX・ドラゴン公式サイト(英語)

ボーイング社スターライナー公式サイト(英語)

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