日本は、5月25日緊急事態宣言全面解除
すべての都道府県が再開のスタートラインに立ちましたね。
2019年11月に、中国の武漢市で初の感染が確認されて以来、
猛威を振るってきたコロナウイルス(COVID-19)。
2020年5月25日時点で、
●確認された感染者数は、全世界で554万人、日本国内1万6千628人
●確認された死者数は、全世界で34万8千人、日本国内851人
となっています。
今後さらに感染者・死者ともに増加する傾向にある国もありますし、いつどこで、第二、第三のうねりが発生するかもわかりません。まだまだコロナという言葉を聞かなくなる日は遠いようです。
コロナ感染・終息の意味と捉え方
東洋経済オンラインの記事に、次のようなことが書かれていました:
「『いつ終わるんだろう』と人々が言う場合、それは社会的な終息を指している」と、ジョンズ・ホプキンス大学の医学史学者、ジェレミー・グリーンは言う。
つまり、病気を抑え込むことによって終わりが訪れるのではなく、人々がパニック状態に疲れて、病気とともに生きるようになることによっても、パンデミックは終わるということだ。
ハーバード大学の歴史学者、アラン・ブラントは、新型コロナウイルスでも同様のことが起こっているという。「経済再開の議論を見る中で、いわゆる『終わり』は医学的なデータによって決まるのではなく、社会政治的なプロセスによって決まるのではないかと、多くの人が思っている」。(toyokeizai.netより)
今後、このウイルスの存在自体が消えてしまうことがない以上、医学的な終息というのは、あり得ないということなのでしょう。
不治の病とされていた結核・昭和初期の話
昭和20年代頃までは、結核は「不治の病」と呼ばれ、
結核にかかった人は、隔離され、死を待つのみとされていました。
その時代を舞台にした映画や書物に、よくその様子が描かれています。
(2015年、佐藤 健主演の「天皇の料理番」の中でも、主人公の兄が結核に倒れました)
第二次大戦後、BCGワクチンが普及し、効果的な薬物療法も確立されて、
日本では、結核という言葉が、世間を騒がせることは、さほどなくなりました。
けれども、世界レベルでは、結核という病気は、HIVの次に死者数の多い感染症で、世界保健機構(WHO)の発表によると、
2017年にも1000万人が新たに結核と診断され、160万人が死亡したと推定している。
このままでは国際連合が持続可能な開発目標(SDGs)で掲げる「2030年までの結核流行終息」達成が難しいとして各国の対策強化を求めている。
また世界では50万人の0-14歳児童が結核に感染しており、2013年では8万人(HIV陰性)が死亡した。またHIV患者はリスクが26-31倍となり、HIV患者の4人に1人は結核で死亡している。
感染様式は結核菌を含む飛沫核の吸入による空気感染で、結核患者からの咳、くしゃみ、唾より感染する。世界人口の3分の1が結核菌に感染しており、毎秒の単位で感染患者が発生している。
ということです。
結核という病気については、感染者の80~90%が一生涯、発病しないそうで、幼少期に感染していても、老年期の体調低下に伴って初めて発病するなど、知られていないことも多いようなので、下のパンフレットを参照されるといいと思います。
結核ってどんな病気? (南京都病院看護広報プロジェクト作成)
コロナ・パンデミックによって再確認したこと
つまり、人類は常に、
終息不能な感染症ウイルスと共存してきたのであり、
いつ起こるかわからないパンデミックの可能性と隣り合わせだということなのです。
ここ数か月、コロナ・パンデミックが引き起こしたあらゆる出来事は、日本に暮らすほとんどの人にとって、初めての経験であり、病気による肉体的苦しみだけでなく、社会・経済への影響も、ただならぬものとなっています。
緊急事態宣言解除、というひとつの大きな区切りにようやく辿り着いた私達は、
今後、「新しい当たり前」・「ニューノーマル」という環境を作り出し、
ウイルスと共存していくことになります。
コロナウイルスに「さようなら」を告げることができなくても、
その実態を知ることで、未知に対する恐怖を払拭し、
冷静な判断と的確なアクションを継続することによって、
パンデミックに対する不安を取り払う。
大げさにいえば、
この世界に存在するすべての生命体との共存を意識して、
常に自分の言動を見極め、
最善を図ることが望まれているのだと感じています。