アメリカ生活３０年を過ぎ、英語も普通に使えるレベルとなった今、振り返ると、ああすればもっとよかったなと思うことがいくつかあります。そういう英会話習得に向けて覚えておくといいコツについて話します。
英語圏に暮らして、特に勉強せずに日常英会話を習得する場合にかかる時間は？
答え：個人差はあるとしても3年から5年【大人が、特に勉強せずに】です。
会話というのは、「聞く」と「話す」の組み合わせ。
どちらの能力も備わっていなければ、会話は成り立ちません。
英会話学習に力を入れずにアメリカ生活をしていた私が、まず最初に英語できるようになったなと感じたのは、聞き取りができるようになった時。
ルームメートが英語圏の人だったのと、その人が観ているテレビ番組をいっしょに楽しく観ていたこともあったりで、まず聞き取り力が伸びました。
半年くらいで、どういう内容の会話をしているのか、くらいは想像できるようになったのですが、しっかりと英語を理解したというよりは、表情や声のトーン、状況設定などからわかった気になっていたというのが本当のところ。でも、シットコムやファミリードラマがわかるようになっても、ニュース番組は、まだまだついていけませんでした。
本当にニュースキャスターの英語がわかるようになったのは、２－３年後。これはとても遅いほうだと思います。
しかも、ニュースキャスターは、話すスピードは速いけれども、滑舌はよくて、声も聞きやすいので、まだいいのです。
ちょっと込み入った映画や歌の歌詞なんて、いまだに「？？」ということが多々あります。難しいドラマや映画は、ちゃんと英語の字幕を出して観るようにしています。
そんな感じで、アメリカ生活3年を過ぎたころ、日常会話は問題なくできるようになったとはいえ、大きな壁にぶちあたったのを感じました。伸び悩んだのです。
そして、普段から、それほどおしゃべりでない私は、パーティーなどでも、聞き役に回ることが多く、話すほうの英会話は、もっと時間がかかりました。
そこで、アメリカの高校生向きくらいの英単語ドリルをやってみたり、ケーブルチャンネルで映画を観まくってみたり、そこそこの学習を試みるようになりました。
それでも、伸び悩んだんですね。
なぜなら、効率よく学習しなかったから。
回りからのプレッシャーや切迫感はありませんでしたし、日常会話ができれば、英語を話さない人からは「英語ぺらぺら」と思われていたので、焦ることもなかったのです。
その後、大学で勉強したいと思うようになってしまって、人生でこれほど勉強したことはないという時間と集中力をかけて勉強し、そこで否応なしにリスニングとリーディング・ライティングは上達しました。
それでも、スピーキングは、まだまだだったんです。
そして大学卒業後、就職をして、色んな人たちとやり取りをするようになって、ようやく否応なしにスピーキングが上達しました。
振り返って数えてみると、英語力：リスニング・スピーキング・リーディング・ライティングの力が四拍子揃って次の段階に到達したのは、在米7－8年過ぎた頃だと思います。
3年くらいで日常会話は問題なし、その後の4－5年で、英語だけしか必要とされない会社で普通に社会人として通用するレベルに達した、というところです。
繰り返しますが、これは、かなり遅いレベルです。特に最初の3年は、英語の学習そのものを何もしていなかったというお粗末な状況ですから、おそらく今、英会話について語っている日本人の中でも、最後尾にいるだろうと思います。
だからこそ、じゃあどうすればよかったのか、最短で英会話を学ぶにはどうすればいいのか、そういうことがわかります。これは、英語圏に住んでいるいないに関わらずです。
特に、日常生活に困らないレベルの英語力なら、私が3年かかって身に着けたところを、1年で達成することは、十分可能だと思います。もちろん時間と集中力は必要です。仕事をしながらスキマ時間に学習するという人には大変なことでしょう。
それでも1年間、がんばってみれば、相当のレベルに到達するはずです。
まずは始めてみましょう！
英会話上達のコツ・理解して覚える・聞く・話す・聞く・話す
よく、聞き流し英語とか、ずっと聞いていれば聞き取れるようになるという売り文句のプログラムがありますが、それが通用するのは、幼少期だけです。
たとえばあなたが今、ひとことの知識もない言語を使う国に放り込まれたとして、ただ聞くだけでその言葉を習得できると思いますか？
たとえば・・・
「リンゴ」はフィンランド語で「Omena・オメナ」といいます。
フィンランドの親切な人が、リンゴを指さして、「Omena」と何度も言ってくれたら、あなたは、「リンゴはオメナだ。」とわかり、もしかしたら単語帳に「リンゴ＝オメナ」と書き留めるかもしれません。
そうやって少しずつ単語を覚えていって、そのうち、動詞やら形容詞やらも、身振り手振りで覚えていくでしょう、膨大な時間と労力を費やして。
実際には「聞くだけで覚える」といっても、日本語で理解して、書き留めて、覚えているんです。日本語抜きで他国語を学ぶことは、立派に日本語を話す大人にはもう無理だと思ってください。
じゃあどうすればいいのでしょうか。
日本語を交えながらしっかり理解するのです。
特に、中学から高校、大学と、ほとんどの日本人は、英語と何らかの接点を持ってきたはずです。英語の授業が苦手だったとしても、嫌いだったとしても、日本に暮らしているだけで、たくさんの英語に触れてきたはずです。
知らず知らずに身についている英語力をうまく利用すればいいのです。ゼロからフィンランド語を学ぶのとは雲泥の差がすでについているのです。
日本語をフル活用して理解し、身に着くまで練習する案
まずは教材に、「すぐに役立つ言い回し」タイプのものを選び、ひとつずつ覚えていきます。
- ネイティブが話すお手本を聞きます。
- 実際の発音に近いカタカナでいいので、発音を確認します。
- 同時に何という意味なのかを確認します。
- スムーズに出てくるまで繰り返し発音します。
- 自分の声を録音して、ネイティブと比較してみます。
さっそく練習してみましょう
まず上の音声を聞いてみてください。全部聞き取れましたか？何と言ったかわかりましたか？
聞き取れた方は、この練習はスキップしてください。完璧に聞き取れなかった方、続けてください。
ネイティブの音声を理解しましょう。
できるだけ近い発音でカタカナ表記すると：
ユワナゴー スィーアムーヴィー トゥナイ（ト）？
これを英語で書くと：
You wanna go see a movie tonight?
wanna は、want to の短縮、会話では「ワナ」が主流です。
日本語の意味は：
今夜、映画観に行かない(行きたい)？
もう一度、音声を聞いてみてください。
ユワナゴー スィー アムーヴィー トゥナイ（ト）？
you wanna go see a movie tonight ?
何度も聞いていると、「聞こえるようになった」と思いませんか？
次に、スピーキングの練習です。カタカナのまま、最初はゆっくりと間を開けてはっきりと発声します。
ユワナゴー
スィー
アムーヴィー
トゥナイ（ト）？
数回練習したら、ひと息で続けて発声します。
ユワナゴー スィー アムーヴィー トゥナイ（ト）？
you wanna go see a movie tonight ?
ひと息ですらすらと言えるようになったら、スマホで録音してみましょう。
標準搭載の「ボイスメモ・ボイスレコーダー」を使うか無料アプリをダウンロードしましょう。
（参考サイト：スマホで録音をする方法 by bitWave）
レコーディングしたあなたの音声とネイティブ音声を比較してみましょう。
通じる英語になっているかどうかを簡単にチェックする方法その①：
スマホの新規メール作成画面など、音声入力ができる画面を選択して、上の文を発音してみます。
ちゃんと正しい文章が表示されますか？
この練習方法の決め手は、まずネイティブに近い発音を、カタカナで見て覚えるということです。
ほとんどの発音は、カタカナ表記でかなり正確に表現できます。決定的に違う発音、V、TH、Rなどは、個々に習得する必要がありますが、意識して練習すれば、すぐに身に付きます。
そして、最も重要な点は、
大きな声で、ゆっくり、はっきり、何度も発声すること
これは言い尽くせないほど大切なポイントです。そしてひとりで練習するのに最適な方法です。誰も聞いていないのだから気にすることはありません。ゆっくり、はっきり、何度も声に出して練習してください。
あ、い、う、え、お、と大きく口を開けて２－３回発声するといいウォームアップになります。
この1文をしっかり練習すれば、あなたの "You wanna go?" はネイティブレベルになっているはずです。
英会話習得は、この繰り返し、積み上げです。これが土台を作っていく大切な部分なんです。
短くて、よく使う、役に立つ言い回しを、ひとつずつ確実に理解して、覚えて、聞き慣れて、発声していくこと。
完璧な発音を目指す必要はありません。通じることを目標にしましょう。とにかく通じること、意思疎通ができること。それが目的です。
（テスト勉強とは全く違うアプローチなのでその点は誤解のないようにしてくださいね）
英会話スピーキングは、単純に、発声した量に比例して上達する
私の場合、スピーキング上達に一番時間がかかってしまった理由は簡単です。
話す量が少なかったから です。
英語圏で生活していれば、当然回りは英語ばかり、見聞きするのも英語ばかり、だから特に英語を勉強しなくても、ある程度は学習できます。
でも、スピーキングに関しては、自分の声を出して話さないかぎり上達しません。これは火を見るより明らかです。
もしあなたが普段からおしゃべり好きで社交家なら、そして英語でも同じようにおしゃべり好きを発揮できるのなら、おそらくスピーキングの上達も早いに違いありません。間違いを気にせず、恥ずかしがらずにどんどん話ができるのなら、それに越したことはありません。
でも、もしあなたが無口なほうだったり、照れ屋さんだったり、間違った英語を話すのに抵抗があったりするとしたら、おそらく私と同様、リスニングとリーディング・ライティングが上達しても、スピーキングはなかなか追いついていかないかもしれません。
そんなあなたなら、まずは、ひとりでもできるスピーキング学習から始めましょう。
英会話・スピーキング上達法：ひとりでできるスピーキング学習案
話せるようになるには、まず、発話練習、とにかく発声発声発声。ある程度の音量でゆっくりはっきり話す練習を繰り返す。
- 音読
- シャドーイング
- ひとりごと
- Siri/シリ・AIと会話
音読・何でもいいから英文を声に出して読む練習案
内容は何でも好きなものでいいのです。
英語で好きなことを検索して、出てきた記事の一段落をコピーして、グーグル翻訳に貼り付けます。
グーグル翻訳の左が英語で右が日本語という設定にすると、日本語訳も出ます。
そして、英文を張り付けたボックスの下にあるスピーカーボタンを押すと、AIが音読してくれます。
（画質が悪いですが、グーグル翻訳の画面。左に英文を張り付け、右に日本語訳が表示され、左下のスピーカーボタンで音声を聞きます）
それを聞きながら、何度も繰り返し音読練習をしましょう。すらすらと読めるようになったら、自分の音声をスマホで録音して、AI音声と比べてみます。(グーグル翻訳)
できるようになったらかなりハイレベル・英会話シャドーイング案
おなじみの練習法ですね。音読練習で使ったグーグル翻訳の英文、AI音声を流しながら、あとを追うように繰り返す練習をしてみましょう。
普通のスピードで話す英語についていくのはかなり大変です。最初は頭だけとか、途中だけとか、それでもかまいません。集中して、追っかけてみましょう。
音声が早すぎて無理！と思ったら、Youtubeを使ってみましょう。英語チャンネルで好きなものを見つけたら、Youtubeは、音声スピードを調整することができるので、0.75とか0.5倍のスピードにしてシャドーイングしてみるとうまくいきます。
⚙設定→再生速度 から変更できます。もちろん字幕も表示できるので便利です。
英会話スピーキング上達法・ひとりごとを言いまくる案
お風呂の時間は「ひとりごと時間」にしましょう。
その日あったこと、考えていたこと、やりたいこと、明日の予定、終末に何をする？今一番食べたいものは何？買いたいものは？行きたい場所は？
ちゃんと考えて、ちゃんと文章を組み立てる意識をして、ひとりごとを言ってみましょう。かたことでかまいません。とにかく思ったことを、今の自分の英語力で発表するのです。
- Today was a good day. → 今日はいい日だった～
- I worked 10 hours. → 10時間働いた
- I ate Ramen for lunch. → 昼にラーメン食べた
- I wanna go to the bookstore tomorrow. → 明日は本屋に行きたい
- He was very nice to me. → あの人優しかったな
- I like pasta. I wanna make good pasta. → パスタ好き、おいしいの作りたい
こんな感じで十分です。短い文を、積み重ねていくような感じで、だんだんと長いひとりごとにしてみましょう。これも、やればやるほどスムーズになってきます、そして英語を話すことに抵抗がなくなってきます。
英会話スピーキング上達法・Siri先生と会話する案
SiriはiPhoneのAI機能です。Androidは、グーグルアシスタント。
まず、スマホのSiri/シリの言語設定を「英語」に変更します。練習が終わったらまた日本語にすぐ戻せますので心配いりません。(Siriの言語を英語に変更する方法 か グーグルアシスタントの言語を英語に変更する方法)
AIに話しかけて起動します（iPhoneなら "Hey Siri" など）
AIボイスを相手に自由に質問して会話の練習ができます。たとえば、
[st-kaiwa-ai r]Yes.[/st-kaiwa-ai]
[st-kaiwa-ai r]Today is Wednesday.[/st-kaiwa-ai]
[st-kaiwa-ai r]You are at 4-2-8 Shibakoen, Minato-ku, Tokyo.[/st-kaiwa-ai]
という感じです。
Siriは、継続して会話できるわけではないので、ひとつの質問をするたびに、”Hey Siri" など、呼びかけてくださいね。(参考：Siriの活用方法を解説したサイト)
英会話上達法・実践あるのみ = 実践すれば必ず上達します
英会話は、難しい学問ではありません。まずは「通じる日常英会話」を目標に、確実に土台作りを実践しましょう。
すでに身についている英語力を呼び覚まし、役立つ言い回しをひとつずつ徹底的にマスター。日本語で理解して、リスニング、スピーキングを徹底実践。ひとりでも可能な学習法だってあります。
そして、理想的なのは、すべてのステップで、実際に誰かと英語で話してみること。
回りに、英語のできる友達がいればおしゃべりしてみる、気軽に通える英会話教室があるならそれも良し。ですが、できればマンツーマン・1対１で会話できるのが最適です。会話に集中しやすいからです。
一番おすすめしている学習法は、オンライン英会話です。授業料など予算が組めるのであれば、少なくとも週に一回は、フリートークのような形で英会話ができるのが理想です。
単語を覚えたり、言い回しの練習をするのは、今回の記事で提案したように、一人でもできます。その成果を確認するという意味で、オンラインレッスン・フリートークを実施するのがおすすめです。
当サイトでは、子供たちのオンラインレッスンという特集で、オンライン英会話のレビュー記事を公開しています。ほとんどの学校は大人向けのレッスンも提供しているのでぜひチェックしてみてください。
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See you again!
