まだ音楽はCDだった頃です。
Senset Blvd.(Boulevard)/サンセット・ブルバード
サンタモニカの海沿いPCH (Pacific Coast Highway) を少し北に上がったところから始まり、パシフィック・パリセイズ(Pacific Palisades)、ブレントウッド(Brentwood)を超え、UCLAの裏門を右に見ながら、べバリーヒルズ(Beverly Hills)に入り、両サイドに高級住宅街が立ち並ぶエリアを走り抜け、ハリウッドの賑わいを過ぎ、イーストハリウッド、グリフィスパークの手前から南下してドジャーズ球場の右脇を通り、LAダウンタウンまで続く大通り。
サンセットブルバードを端から端までドライブすれば、LAの縮図が見えると言っても過言ではありません。
タワーレコード行くんだったら買ってきて
当時、まだiTuneも、いや、iPodもまだ登場していなかった頃で、音楽を聴くのはCDでした。
サンセットブルバードにでっかい看板を掲げ、ハリウッドのランドマークでもあった「Tower Records・タワーレコード」のショップに行くのが週末の楽しみのひとつだった頃です。
ある時、母に「タワーレコード行ったらナッキンコー買ってきて」」と頼まれたんです。
なんじゃそのお薬みたいなタイトル・・・?
親子の会話
Toki「誰のアルバム?」
母「ナッキンコー」
Toki「聞いたことないなあ、ほんとにそんな名前?有名な人?」
母「誰でも知ってる有名な歌手。」
まじか~
とりあえず、探してみると言って出かけたのですが、ショップの売れ筋を見てもそんなのはなく、途方に暮れた私は、勇気を振り絞って店員さんに聞いてみることにしたのです。
Here you are!
"Excuse me.... I'm, no no, my mom is looking for なっきんこー. I'm not sure if you know but my mom insists....."
私が言い終わるのを待つこともなく、店員さんは、ちょこちょこっと先のコーナーに連れて行ってくれました。
”Here you are."
”テ・テ・テ・テンキュ~”
そこに並んでいたのは、(皆さんもうおわかりでしょうか?)
1940's ~ 1960's R&Bの頂点に君臨していた超大物人気シンガー
Nat King Cole さん、 だったんです。
ナッ キン コー
「これが生きた英語か~~~!」
私はある種の感動に胸がいっぱいになりました。
母は耳から入っていた・さすが海外生まれ
私の母は母の父親が海外で事業をしていた関係で、生まれてから小学校に入るくらいまでを太平洋の小さな島で暮らしていました。
そこで働いていた島のローカルの人たちとの思い出話をよく聞きました。ヤシの木に登ってココナツの実を採ってきてくれたり、見たこともない料理をつまみ食いさせてくれたり、母は、南国のフレンドリーな人たちが大好きだったそうです。
私が幼少の記憶をたどっても、母はいつも洋楽のレコードを聞きながら掃除したり洗濯したりしていました。
そんな母は、特に英会話を勉強したわけでもなく、英語がぺらぺらだったわけでもありません。ただ自然に聞こえるままに、DJの声や歌の歌詞などの音を拾って、リピートしていただけだったのです。
ナッキンコーは、ネイティブの発音からはほど遠いかもしれませんが、何の問題もなくちゃんと通じました。
通じる英語。私達が目指すのはそれです。
日本の英語学習でまず最初に改良されればいいなと思う点
それは発音です。
ようやく、小学校で英語の授業が浸透してきたのだから、これからがチャンスです。
まず、初めての英語の授業では、Fonics・フォニックスを教えてあげてほしい。それから、単語や文章は、すべてネイティブの発音を聞かせてあげてほしい。そしてその音を聞いて、リピートすることでスピーキングにつなげてほしい。
小学生なら、なんの苦労もなくできるはずです。フォニックスをしてから、ABCの歌を歌ったり、インディアンの歌を歌ったり、それだけでも発音の基礎が出来上がるはずです。
そして、どうしてもカタカナ表記を使う必要があるのなら、せめて、本当の音に近いカタカナにする工夫をしてほしいのです。
Nat King Coleには、ナット・キング・コール ではなく、ナッキンコーとつけてほしい。
そういう小さな改革から、大きな変化が生まれるはずです。私は教育者ではないので何の力にもなれませんが、日本人全体の英会話能力が上がることを、心から望んでいます。
英語能力でなく、まずは、英会話能力です。